名古屋大学 工学部 機械・航空宇宙工学科 / 大学院工学研究科 機械航空系
構造・創製講座 構造力学研究グループ
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〒464-8603 名古屋市千種区不老町 名古屋大学
研究内容
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の特性評価
CFRP
は,ボーイング
787
やエアバス
A320
など,主要な航空機の構造材料として用いられている高強度・高剛性の炭素繊維強化プラスチックです.近年は主翼や尾翼などの主構造への適用も進んでおり,航空機の軽量化・低燃費化が達成されています.本研究室では,
CFRP
積層板の強度試験や破壊靭性試験,疲労き裂進展試験を実施し,その特性評価を行っています.また,有限要素法や境界要素法を用いた数値シミュレーションも実施しています
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カーボンナノチューブ強化複合材料の開発
近年注目を集めつつある,カーボンナノファイバおよびカーボンナノチューブを強化フィラとした樹脂複合材料を作成して,弾性率や引張強さなどの機械的特性,ならびに電気伝導率や熱伝導率などの物理的特性の評価を通して,高強度かつ高機能な複合材料の開発を目指すとともに,自動車や航空機など,構造材料への適用について検討しています.特に, CNT, CNFによりマトリクスを強化したCFRPについて重点的に研究を行っています.
共鳴超音波須ペクトロスコピー法による材料評価
共鳴超音波スペクトロスコピー法は,材料の共振を利用して,その弾性定数や粘弾性定数を測定する一連の手法です.本研究室ではピエゾ圧電素子を用いた実験装置を試作し,境界要素法もしくは有限要素法と遺伝的アルゴリズムを用いた逆解析手法を適用して異方性体の弾性定数ならびに粘弾性定数(弾性と粘性のパラメータ)を高精度に測定法する一連の手法について検討しています.
レーザー超音波を用いた材料評価
材料にレーザーを照射することにより発生するレーザー超音波を利用し,固体材料内部に弾性超音波を励起させ,その反射と干渉を利用して材料強度等の物性値を算出する一連の手法が注目を集めています.本研究室では,レーザー超音波を用いてコーティング膜の密着強度や層間破壊靭性値を求める一連の手法について研究を行っています.
衝撃荷重を受けたCFRPの損傷挙動の解明
ターボファンエンジンなど,航空機には鳥衝突現象など,高速で物体が衝突する可能性があります。CFRPは金属材料に比べ,脆性的であるとされており,衝撃荷重には比較的弱いとされているため,CFRPの衝撃荷重下の損傷挙動を正確に予測することは非常に重要です。
本研究ではCFRP内の損傷を表現するためのモデルを提案し,これを用いた有限要素解析結果を実験と比較するこにより,CFRPの損傷挙動の正確なシミュレーションに成功しました。
また,これを材料選定にフィードバックし,損傷に強いCFRPを選定することができました。
極低温環境下でのCFRP接着構造の損傷挙動解明
CFRPは,繊維方向の熱膨張率が金属材料と比べて著しく低いという特徴があります。この特徴は人工衛星等の,温度環境が過酷な領域でも部品寸法が変化しにくいことを意味し,長所でもあります。しかし,金属等の部材と接着等で一緒に使用する場合,温度変化によって大きな熱応力が出てしまうという短所でもあります。宇宙輸送ロケットの極低温推進剤タンクなどではそのような短所が顕在化しやすく,接着破壊によるタンクの破壊が問題になっています。
本研究では,極低温環境下でのタンク破壊を抑制する設計を実現するため,CFRP接着構造の極低温環境下での接着破壊特性を実験的に計測し,データ処理するための手法を提案しました。
また,そのデータを用いて極低温タンクの設計を見直し,試験を行いました。
CFRPX線CTを用いたCFRP内部の可視化・モデル化
X線CTを用いて可視化したCFRP内部
X線CT(Computed Tomography)とは,多数のX線透視画像をコンピュータを用いて逆処理することによって,物体内部の三次元的な断層画像を得る技術です。近年は装置性能の向上によって解像度が向上しており,これを用いた微視的な材料欠陥(例えば炭素繊維の蛇行や,樹脂の空隙)を観察することができるようになりました。
本研究ではX線CT技術を用いて微視的材料欠陥の定量化を行うとともに,X線CTデータを用いて材料を直接的に有限要素モデル化する研究を行っています。